BLADE RUNNER THE FINAL CUT
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![]() サンディエゴ・コミック・コンベンションで配布されたミニ・ポスターの裏・表。 |
■祭りの年 映像ソフト市場がビデオ・LDからDVDへと移行したにも関わらず、『ブレードランナー』の新しいソフトは、大して画質の良くない、映像特典の収録されていない『ディレクターズ・カット 最終版』のDVDのみという状況だった(しかも一時期は生産終了の廃盤状態という体たらくでさえあった)。 ■ストルーザン再臨 1982年の初公開時、実はドゥルー・ストルーザンにもポスター・アートの依頼があった。当時彼は素晴らしいイラストを描いたが、修正を依頼されている途中でジョン・アルヴィンのイラストの採用が決定してしまう。ストルーザンのイラストはポスターには採用されなかったものの、後にペーパーバックの表紙やスーヴェニア・マガジンの裏表紙を飾ったものだ。 ■新しいロゴはなぜピンボケなのだろう 上のポスターは、DVDリリースに先立ち、ニューヨークとロザンゼルスで限定公開が決まった際に製作された「ファイナル・カット」の劇場版ポスターである。サンディエゴのコミ・コンで配布されたミニ・ポスターからストルーザンのサインを消しただけの同じデザイン。初公開版ポスターにあったタイトル上のハリソン・フォードの名前はロゴが変更され、クレジット部分も流行の形に直された。US1シートのサイズで見るとかなり迫力があり、精緻な筆運びが良くわかる非常に美しい印刷である。 ■ジョン・アルヴィン逝く DVDに収録された映像で判明したのだが、実はジョン・アルヴィンもまた25周年のためのイラストを描いていた。他にも彼はポスター・アートとは別に、独自の解釈で描かれた様々な『ブレードランナー』のイラストを残している。しかし残念ながらそのどれもが、構図、色使い、俳優に似ているか、の点で今ひとつだ。はっきり言えば、安っぽく、冴えないものばかりである。 |
2007. British Quad. Limited copy by laser printer. 30X40inch. Rolled. |
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■○「完全版(国際版)」 ×「ディレクターズ・カット 最終版」 「ファイナル・カット」は9月にヴェネチア映画祭でお披露目された後、10月にニューヨークとロサンゼルスで、11月には東京と大阪で期間限定公開された。プリントの作られなかったこの作品は、デジタル上映設備のある劇場でしか公開出来なかった。 ■25年目の衝撃 深いリヴァーブのかかった「ドーン」という衝撃音が大音量で響き、漆黒のスクリーンに真っ白なクレジットが全くブレることなく浮かび上がる。この瞬間小生は、初めて『ブレードランナー』を見た日に戻っていた。あれ以降名画座やビデオ・LDで数え切れないほど繰り返し見て来たものが、その時全て消し飛んでしまった、と言っては大袈裟だろうか。 ■金字塔 長い間『2001年宇宙の旅』がSF映画の金字塔だと思って来た。『ブレードランナー』は、金字塔と呼ぶにはあまりにも完成度が低かった。 ■イギリスらしからぬ イギリスでは「Picture House」という、主にアート系映画を上映する劇場チェーンで限定公開された『ファイナル・カット』。通常印刷のポスターではなく、レーザー・プリンタで極少枚数出力されたものだが、どう見てもインスタントなこのポスターは現地のファンにも不評だったらしい。イギリスだけにデザインも、『ディレクターズ・カット 最終版』の時のようにノー・トリミングのイラストを配した独自のものになると期待していたのに、なんともハンパな仕上がりだ。 |