1982. Finnish. 16X24inch. Rolled.

■フィンランドからの手紙

 モンティ・パイソンのネタに「フィンランド」という歌がある。
 「フィンランド、フィンランド、フィンランドはボクの行きたい国」と始まるが、「仔馬に乗ったり、キャンプをしたり、テレビを見たり」とか、「ロシアにすごく近い」や「日本からとても遠い」とか、「朝食や夕食をホールで食べる」とか「山がすごく高い」とかいう実にどうでもいい歌詞で、いかにフィンランドという国がつまらないところかを童謡みたいなメロディでマイケル・ペリンが可愛く歌うという名曲だ。そして小生のフィンランドに対するイメージの貧困さは同じようなレベルである。

 このポスターはebayを通じてフィンランド在住の「Mika」という人物から購入した。以下は何度か届いたMikaからのメールの抜粋。ポスターに関するやりとりの後、唐突に書かれていたのがこのフレーズ。

 「You know I am in love with a Japanese girl.」

 そんなこと急に告白されてもなあ。しかも「You know」ってさ・・・知らねーっつうんだよ。しかし、するってえと「Mika」ってのは日本人のガールフレンドの名前を戴いたニックネームってわけか?と小生勘違い。

 「I know Mika is a girlエs name in Japan. Mika is a manエs name in Finland.」(誤字まま)

 ああ、そっか、そういやミカ・カウリスマキって映画監督がフィンランドにいたっけ。

 「I love Natsuki.」

 えっ?「ナツキ」って誰だよっ!あ、そっか、件の日本人女性の名前か。なんで「ナツキ」が好きなの?と訊いてみる。

 「Natsuki is a beautiful Japanese woman.」

 まあビューティフルなのは結構だけどさ・・・。「ナツキ」はキミの友達なの?とさらに質問。

 「I am trying to win her. She is lovely.」

 これからモノにすんのかよ!まあ、がんばってね・・・・。
 数日後我家に届いたポスターの筒には「Thanks Toru! ★Mika★」と書かれていた。彼は何歳なのだろう・・・・ハゲ頭で胸毛モジャモジャの独身中年男だったら嫌だ。

■メトロポリス2020

 日本のポスターサイズよりも小さいフィンランドのポスター。おなじみJouineau Bourdugeによるコラージュが黒を背景にしてクールにキマった。
 タイトルと写真の間にあるテキストは本編冒頭で流れる「21世紀初め、タイレル社は・・・・」という解説のフィンランド語ヴァージョンだと思われる。「KAIMAT」という単語が「レプリカント」に当たる模様。
 だがこのポスターの最重要ポイントはタイトル右下の「METROPOLIS 2020」というフレーズである。
 フリッツ・ラングによる1927年制作の革命的SF作品『メトロポリス』が『ブレードランナー』に与えた影響についてはファンであれば誰でも知っている。がしかし、「2020」とはこれいかに。この作品の舞台は2019年である。間違えたのかわざとなのか・・・・。
 いずれにせよ「METROPOLIS 2020」というサブタイトルを持つこのフィンランド版は、ただもうそれだけで珍品である。