1982. Mexican Lobby Card. 30X38cm.

■ミニカーが・・・・

 メキシコ版ロビー・カードの特徴は、雑多で、美意識もへったくれもない滅茶苦茶なレイアウトだ。70年代までの日本の映画ポスターにはそんなものが多かった。時に作品の本質を無視してまで情報を詰め込む乱暴さ。素晴らしいではないか。
 だがこのロビー・カードはいかがなものか。
 タイトル横にあるのは、ファンなら誰でも知っているERTL社から発売されたミニカーだ。しかも通常のスピナーならまだしも、なぜ「アルファロメオ・スピナー」なのか(ちなみに製品名は「Rachael's Spinner」)。ミニカーを配置することでどんな客層を狙ったのだろう。不思議だ。
 恐らく数種類が制作されたと思われるが、メキシコ版ロビー・カードは写真部分(この場合はレイチェル)を差し替えただけのものだろう。まあ1枚あればもういいよね。

1982. US Title Card. 28X35.5cm.

■映画館で見たのは4回

 新宿ミラノ座で初めて見た3ヶ月後くらいであろうか、通っていた高校がある町の映画館に『ブレードランナー』は『ポルターガイスト』との併映という形でやって来た。『ポルターガイスト』が面白い、という評判も聞いていたので、もちろん見に行った。
 その2ヶ月後くらいだったか、年明けになって今度は地元の映画館で上映された。何を血迷ったか、併映は高倉健の映画『海峡』。当時こういう無茶なカップリングは田舎の映画館ではよくあった。『ブレードランナー』を2回見たかったから(1度は全編音声を録音していた)、仕方なしに『海峡』を見た。
1984年、高校を卒業した年の夏、三軒茶屋東映で『エイリアン』、『遊星からの物体X』との3本立て、というある意味こちらも超無茶なプログラムを見に行った。1回目から見て、夕方映画館を出た時には暑さとは関係なくボウ〜っとなったものだ。
 それが最後にスクリーンで見た『ブレードランナー』だった。