ALIEN 『エイリアン』(1979年) |
![]() 1979. International 1 sheet. 27X41inch. Rolled. |
■SFバブル最後の大作 78年、日本では春に『未知との遭遇』、夏に『スター・ウォーズ』が公開され空前のSFブームが到来した。 ■映画館に来たことを後悔するほどの恐怖 公開前に伝わって来たのは「宇宙船が舞台の侵略生物モノ」という程度の大まか過ぎる情報と、大砲のように屹立するちんこみたいな装置に寝そべるミイラのような物(後に「スペース・ジョッキー」と判明)、および奇抜なデザインの宇宙服を着た連中の姿など数枚の写真のみ。監督の名前も俳優たちの顔も一切見たことなし。 ■メカニカル・ゴシック 現在では知らない人などいないであろう宇宙怪物モノの代名詞になった『エイリアン』。ヴィジュアリスト=リドリー・スコットの名とスイスのシュルレアリスム画家=H・R・ギーガーの存在を世に知らしめ、SF映画の流れを急角度に変え、数々の亜流ホラーを生み、後にシリーズ化されシガーニィ・ウィーバーをスターダムに押し上げることとなった記念すべき第1作。そのパーフェクトな完成度はリドリー・スコットの最高傑作であり、この作品が無ければ『ブレードランナー』も生まれることはなかった。 ■名コピー 表面にブツブツのある卵とその下の粘土で作ったような謎のグリッド。2つとも映画本編には登場しない要素ながらこのポスターは作品のイメージを決定付けてしまった。上部にかなりの間隔を開けて並ぶ小さなタイトル文字がスタイリッシュ。 |
![]() 1979. Spanish 1sheet. 27X40inch. Folded. |
■スコットとキューブリック あれほどの作品をモノにしながら、驚くべきことにリドリー・スコットはSFというジャンルに関心が無い。 ■『エイリアン』はレイプ・フィルムだ ホラー映画ならではのショッキングな描写というものは何度も見るうちに馴れてしまう。『エイリアン』を繰り返しの鑑賞に堪え得る作品にしているのは、徹底的に作り込んだメカとそれを操作する人間たちに血が通っているからである。 |
![]() 1979. MPC Plastic Model Kit. Kenner社からリリースされたフィギュアが人気だが、小生のお気に入りはMPC社製のプラモデルである。 |
![]() ALIEN THE DIRECTOR'S CUT
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■恐怖とサスペンスの半減した失敗作 『エイリアン』にはいくつもの削除されたシーンが存在した。リプリーとランバートの喧嘩、ブレットを捜しに行ったパーカーとリプリーの頭上から降る血の雨、そして最も有名なものは、真っ先に餌食になったブレットとダラスがノストロモ船内の片隅に塗りこめられ徐々に繭(エイリアンの卵)になりつつあるところを、脱出直前のリプリーが発見し火炎放射器で焼き尽くすという場面である。 限定5000枚と言われる輝くフォイル版ポスター。映画は「商品」であり、ブラッシュ・アップやマイナー・チェンジを繰り返して何度も新商品として売り出したい気持ち(というか企業努力)は理解出来る。それに、今回初めて『エイリアン』をスクリーンで見ることが出来たティーンエイジャーには新鮮な体験かも知れない。 |