AN AMERICAN WEREWOLF IN LONDON
『狼男アメリカン』(1981年)

1981. International 1sheet. 27X41 inch. Folded.

■ジェニー・アガターの看護婦姿

 80年代前半は特殊メイクを多用した「ホラー映画」のブームでもあった。『ハウリング』『遊星からの物体X』『ビデオドローム』『トワイライトゾーン』と、特殊メイク・特殊造形の発展は目ざましくその都度驚かされたものである。
 中でもこの『狼男アメリカン』でリック・ベイカーが作り出した変身シーンのクオリティは凄まじかった。コンピューター・グラフィックでのモーフィングが当たり前になってる現在でも、いやそんな時代だからこそこのアナログの変身プロセスはますます迫力を増しているように感じる。要するにこの時代の特殊造形って、目の前で血を噴いたりしている超リアルな人形を撮影するだけの「ドキュメンタリー」だったのだ。

 随所でイギリスへの偏見が面白おかしく描かれているコメディぶりはジョン・ランディスならでは。そしてなんと『2300年未来への旅』から5年、ジェニー・アガターがしっとり落ち着いた美しさを見せる。しかも看護婦役だ。アガターがこの映画で披露するヌードとベッド・シーンは、映画のトーンを壊すほどの濃厚な官能を放つ。

 血で描かれた狼がなんとも可愛いポスター。タイトル・ロゴもソール・バス風で良い感じだ。