JUGATSU (BOILING POINT) 『3−4X10月』(1990年) |
1999. French. 46X62inch. Folded. 『HANA-BI』の受賞効果によって慌ててフランスで公開された。 |
■アナタの前頭葉を破壊する 衝撃のデビュー作から1年後、北野武はホンモノの爆弾を抱えてやって来た。 ■1時間半の予知夢 今まで経験したことのない省略と静止が生む不思議なリズム、そして引きと寄りを巧みに使い分けた撮影が、全篇に散りばめられたややベタなお笑いを美しい情景へと昇華し、「オフビートな」などという言葉では追い付かないほど奇妙過ぎるストーリー展開が見る者を唖然とさせる。 |
1999. US 1sheet. 27X40inch. Rolled. どうにもパッとしないデザインのアメリカ版ポスター。 'VIOLENT COP'と同じ配給会社によって公開されたようだが、 いずれにせよ余り売る気は無かったのではないか、と勘繰ってしまう。 'BOILING POINT'(沸点)なるタイトルも当たっているようないないような。 ま、アメリカ人にはこの映画の面白さはわかるまい。 |
■北野作品中最高に素晴らしい音楽 この作品は、北野武が書いた最初のオリジナル脚本であるということだけでなく、今ではすっかりトレードマークとなった「キタノ・ブルー」の生みの親である撮影監督=柳島克己の他、美術・照明・録音など後に名作『ソナチネ』を生み出すことにもなる北野組スタッフが初めて揃ったという意味においても重要な作品である。 ■『八月の毛沢東』 ちなみに北野武がこの作品に付けようとしたタイトルは『八月の毛沢東』。つまりタイトルなんかどうでもよかったのだ。「3−4」というフレーズが、作品で重要な位置を占める野球に直結し、「10月」は単純に公開月を示す(結局公開は前倒しになり9月だったが)という、なんとも人を食ったネーミングセンスだが、それだったらいっそのこと「八月の毛沢東」でもよかったのではあるまいか。個人的には、こちらのブッ飛んだ語感の方が好みだったりする。 |