CAPRICORN ONE
『カプリコン・1』(1978年)

1978. US 1Sheet. 27X41inch. Folded.

■O・J・シンプソンか・・・・・・

 リチャード・ハリス同様、70年代中盤からかなりの旬を迎えていたスターにO・J・シンプソンがいる。
 NFLの花形選手として活躍するかたわら、俳優としても『タワーリング・インフェルノ』、『カサンドラ・クロス』、そしてこの『カプリコン・1』と大作映画に連続で起用され、任されるキャラクターもみるみる重要なものになっていった。
 当時実際に、映画の中での彼のワイルドなマスクとスマートな佇まいはなかなか華があり、子供だった小生にさえ魅力的に映ったものだ。「黒人スターと言えばO・J・シンプソンである」という記憶から逃れられない者が、我々世代には少なくないのでは、と思う。
 だからねえ・・・・なんであんな事件を・・・・まったくもう・・・・。

 国家の威信を賭けた「有人火星探査計画」がデッチ上げであることを公表しようとする新聞記者と、陰謀の渦中にある宇宙飛行士たちのサバイバルをスケール感豊かに描くサスペンス大作、として当時大いに話題となった今作。『アウトランド』『2010年』など、後のフィルモグラフィでも妙にSFづいている監督、ピーター・ハイアムズの仕事中でもベストに位置する作品であると思う。
 その昔TV朝日の「水曜スペシャル川口浩探検隊シリーズ」でバンバン使われたこの映画のかっこいいテーマ音楽は、やはり同番組で『カサンドラ・クロス』の方もかかりまくったジェリー・ゴールドスミスによる作曲。『2300年未来への旅』同様、映画本編では流れない「愛のテーマ」が、このサントラの白眉だと思う。

 オールスターキャストを並べた「ザッツ70s!」なレイアウトは悪くないが、今ひとつ魅力に乏しいポスター・デザインだ。宇宙飛行士のヘルメットにクライマックスのヘリコプターと複葉機のチェイスシーンが映り込んだイラスト版(オーストラリア版ほか)の方が断然イイ。