RED SORGHUM
『紅いコーリャン』(1987年)


1989. US 1sheet. 27X41inch. Rolled.

■チャン・イーモウのミューズはコン・リーだった

 ヨーロッパの映画祭では受賞の常連となっている中国の映画監督チャン・イーモウ(張藝謀)。すっかり巨匠の風格が漂う彼だが、『初恋のきた道』や『至福のとき』などで「美少女趣向監督」のレッテルを貼られる以前、彼のミューズは長年コン・リー(鞏俐)であった。
 コン・リーなくしてはイーモウ作品はあり得なかった、と言い切りたいほど(全作品が素晴しいのでそれは言えないんだが)、彼女とのコンビから生まれる作品は「情熱」と「力強さ」、そして何よりも「官能性」に溢れている。
 日中戦争に巻き込まれた造り酒屋と村人たちの悲劇を描くこのデビュー作には、そんなコン・リーの存在をバック・アップするかのように鮮烈な「赤」がたぎっている。

 冒頭の嫁入りの場面をイラスト化した、かなりあっさり目のUS版。


1988. British Quad. 30X40inch. Folded.

 US版とは反対に強烈なラスト・シーンを持って来たUK版。
 この悲痛な場面で最も激しい「赤」が画面全体を染め上げた時、それまで「官能性」において機能していたこの色が全く違う意味・感情へとシフトする。

 しかし、坊主頭に夕陽とは・・・・・まるで『地獄の黙示録』のようだな、このポスターは。