VIDEODROME
『ビデオドローム』(1983年)


1983. British Quad. 30X40inch. Rolled.

■新しい肉体よ、永遠なれ!

 「テクノロジーによる肉体の再生」「もう1つの現実」「エロティシズムのエッジ」といった後のフィルモグラフィで深化させて行くことになるクローネンバーグ・イズムが完全花開した作品である。誤解を恐れずに言うならばこの映画こそ彼の原点だと思う。
 リック・ベイカーによるリアルな特殊造形が、腹に開いた女陰のような裂け目・拳銃と一体化する手・内側から崩壊する肉体等をおぞましくも美しく表現。主演のジェームズ・ウッズのルックスはまるでクローネンバーグの分身であり、デボラ・ハリーのエロティックでクールな美貌は作品の背徳感を体現した。カタルシスの無い謎のラストも含めて最もクローネンバーグらしい作品ではないだろうか。日本では輸入版ビデオがマニアの間で話題になり、遅れて劇場公開となった。しかも、なんと渋谷のユーロスペースで。ちなみに初公開時の表記は「ヴィデオドローム」。現在では「ビデオドローム」に統一。
 イギリス版ではブロンディ人気を意識してか誰よりもD・ハリーの名前が大きくクレジットされている。劇中にも登場する真紅の拷問部屋がデザインのベースになってるのも嬉しいが、名ゼリフ「LONG LIVE THE NEW FLESH!」がインサートされてるのが何よりのポイント。シルバーのタイトル文字も美しい。



1983. US 1 Sheet. 27X41inch. Rolled.

<それはまず彼女のマインドをコントロールした>
<それから彼女の肉体を破壊する>