1900 (NOVECENTO) 『1900年』(1976年) |
![]() 1976. French. 41X55cm. Folded. このイラストを描いたのはJean Masciiというフランス人アーティスト。 |
■ベルトルッチ36歳、デ・ニーロ32歳、ドパルデュー27歳 舞台はイタリアのエミーリア地方(ベルトルッチの故郷パルマがある)。大地主の息子アルフレード・ベルリンギエリと小作人の子オルモ・ダルコ、1900年の同じ日に誕生した2人の男子の愛憎ドラマを軸としながら、時の権力と農民たちの階級闘争に揺れる1900年代前半世紀のイタリアを力強く描く大河ロマン。「第一部」「第二部」合わせて5時間以上という超絶作品。製作開始から3年、この映画の完成時、ベルトルッチはなんと36歳であった。 ■ランカスター62歳、ヘイドン59歳、サザーランド40歳 アルフレード、オルモそれぞれの祖父を演じるバート・ランカスターとスターリング・ヘイドンもまた幼馴染みという設定だ。 |
![]() 1976. French. 41X55cm. Folded. 93年に初めてこの映画を観た渋谷東急のロビーにはこれの大判が飾ってあったと記憶している。 |
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■変奏曲 父親(父性)の不在。決断力・行動力に欠け卑怯とも言える主人公。そんな彼を新しい世界へ導こうとする擬似的な父親。最後は主人公に愛想を着かしてしまう妻。歴史の大きな潮流。エロティシズム。男色。レズビアン。麻薬。などなど。 ■オッタヴィオ 『暗殺の森』『1900年』『ラストエンペラー』に登場する3人の「父親」。いずれも知的でウィットに富んだキャラクターとして描かれているが、『1900年』の主人公の伯父オッタヴィオはその華麗なルックスもあって特に魅力的だ。 ■キューブリック オッタヴィオを演じたのはドイツ人俳優ヴェルナー・ブランズ。有名な出演作としては『オデッサ・ファイル』くらいしかないのだが、なんとこの人、スタンリー・キューブリック夫人=クリスティアーネの前夫である(クリスティアーネはドイツ人)。2人の間にはカタリーナという娘がおり、彼女は『時計じかけのオレンジ』のレコードショップのシーンにエキストラ出演もしている。うーん、またもやキューブリックか・・・・。 |
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![]() 1976. German. 23X33cm. Folded. タイトル・ロゴも素晴らしければ、少々雑なコラージュも味わいがある。 |
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■これは映画である 5時間以上という長尺の中で語られる物語は、一定のトーンを全く保っておらず、展開のテンポも良いとは言えず、時に混沌としたムードすら醸し出す。それは相対する2つの階層、ブルジョワ側と農民側をまったく別の演出・撮影・趣向で描き出しているからであり、主人公たちを取り巻く人間たちがあまりにも多いからであり、そして何と言っても上映時間の長尺によるものでもある。『暗殺の森』や『ラストタンゴ・イン・パリ』には見ることの出来なかった制御不能感。 |