「大人は判ってくれない」


シャイヨー宮にて。
この2年後、パリの名所の1つであるこの場所をヒトラーが訪れることになる。
華の都をブルーに染め上げ、凍てつくシティスケープに来るべき恐怖の時代を予感させる。


この前年に出演したロベール・ブレッソン監督作『やさしい女』でもヌードを見せた
ドミニク・サンダだが、胸の形は随分と変わってしまった。


このような花屋のシーンは本編には無い。それにしても怖ろしい襟巻だ。
これが映画のファッションとして何の問題もない時代があったのだ。


高級ブティックでの買い物シークェンスにはラグジュアリーな空気が溢れる。
この後でジュリアがガーター・ベルト付きストッキングを直すシーンがエロティック。


女性同士のタンゴをレズビアンの暗喩としてヴィジュアルにしながら、
こんな行為をはっきりと見せてしまう場面も用意する過剰さ。


女性同士の堂々たるカラミは『ラストエンペラー』でも描かれる。
戦争の予感の中で同性愛描写が振り撒く芳しさは格別である。


予防接種の痕に生活感が滲み出ている。
寒々とした陰鬱な物語にあって、彼女のエロスは明るく力強い。


2人は6年後、トランティニャンの妻ナディーンの監督作で再び共演する。


写真裏面に捺されたスタンプ2種。
ローマにあるAngelo Noviのラボの住所と電話番号が確認出来る。


フランス人キャストの声はすべてイタリア人俳優による吹き替えである。
トランティニャンはSergio Graziosi、ドミニク・サンダはRita Savagnoneによるもの。




リタ・サヴァニョーネは『1900年』でもサンダの吹き替えを担当した。


オルセー・ホテルはこの映画の撮影の3年後に閉鎖された。
元々駅舎だったこの建物が美術館として生まれ変わるのは1986年のこと。


Italian double-bustaで大きくレイアウトされたスティル。


中華料理を囲んでの腹の探り合い。
ベルトルッチの単純な東洋趣味か、それともゴダールへのあてつけか。


サンドレッリの隣に移動して来たサンダ。ガールズ・トークが聞こえて来そうだ。
編集前にこのようなシーンが存在したのか、オフ・ショットなのかは不明。