「Fotografi di scena del cinema italiano ANGELO NOVI」より


アンジェロ・ノヴィ(1930〜1997)は、『暗殺の森』を皮切りに『ラストタンゴ・イン・パリ』、『1900年』、『ラストエンペラー』、
そして『シェルタリング・スカイ』と、ベルトルッチの黄金時代を記録し続けたスティル・カメラマンである。

他にピエル・パオロ・パゾリーニ、セルジオ・レオーネとも組み(2人ともベルトルッチと縁のある監督)、膨大なスティルを残している。
『テオレマ』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(旧邦題『ウエスタン』)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
のポスターを飾ったお馴染みの名場面。あの印象的なスティルはノヴィが撮影したものである。


とかくヴィットリオ・ストラーロとのコンビばかりで語られがちなベルトルッチの映像美だが、
ノヴィが切り取った映画の瞬間の数々には、『暗殺の森』のエッセンスが現場の空気とともに封じ込められている。

サイズはすべて18.5 X 24 cm。


撮影が開始されたのは1969年晩秋。トランティニャンの服装からオルセー・ホテルでのファーストシーン撮影中のオフショットと思われるセーヌ河畔での1枚。ステファニア・サンドレッリのロングストレートの髪は恐らくウィッグであろう。
映画はクアドリ教授暗殺決行の日の朝で幕を開ける。
ジャン=リュック・ゴダール『軽蔑』のブリジット・バルドーの尻へのイタリアからの回答。
ローマ市内、皇帝アウグストゥスの碑文遺跡を擁する「アラ・パチス(Ara Pacis)博物館」の外を歩くマルチェッロ。
ムッソリーニがプロパガンダの一環として建設した施設の外壁。このお映画の設定である1938年に建てられた。
ムッソリーニ政権下で建設されたドゥーカ・ダオスタ橋に据えられたシンボルの前でポーズをキメるマルチェッロ。
本編には無いショット。
EUR内にある会議場ビル内で撮影された俯瞰ショット。
マルチェッロの父親が入院する精神病院は同施設の屋上野外劇場で撮影された。
美術を担当したのはフェルディナンド・スカルフィオッティ。イタリア有数の自動車メーカー「FIAT」の創設メンバーの1人を祖父に持つ新進気鋭のデザイナーだった。
スカルフィオッティはこの翌年『ベニスに死す』を手掛けたほか、『ラストタンゴ・イン・パリ』『ラスト・エンペラー』『シェルタリング・スカイ』でもベルトルッチと組むことになる。1994年、肝不全のため53歳の若さで死去。
サンダはこの映画で3役を演じているが、まずは大臣の謎めいた愛人として初登場する。