STARSHIP TROOPERS 『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年) |
![]() 1998. British Quad. 30X40inch. Double-sided. Rolled. |
■これ、ホントにあの『宇宙の戦士』か!? 「パワード・スーツ(強化防護服)」に身を包み異星の生物との死闘を繰り広げる若き兵士たち・・・・・ハヤカワ文庫刊の原作にあるスタジオぬえのイラストに痺れ、『機動戦士ガンダム』をバイブルとして来たSFファンが長年待ち望んだヴィジュアルだ。 ■ヴァーホーヴェン将軍に敬礼! そんな映画『スターシップ・トゥルーパーズ』を確信犯的に見事完成させたのは、『ロボコップ』で狂った未来観と独特のヴァイオレンス感覚を提示し、『トータル・リコール』ではあまりにも腑抜けた火星コロニーを作り出した男、ポール・ヴァーホーヴェン。 ■「見ろ。驚け。そしたらまた見ろ」 97年、『フェイス/オフ』『プライベート・ライアン』『ブギー・ナイツ』『ガタカ』といった超傑作群を寄せ付けることなく、小生のベスト・フィルム・オブ・ザ・イヤーに、そして『セブン』と並んで90年代小生を最も打ちのめした作品となった『スターシップ・トゥルーパーズ』。イイ歳こいた大人のハートに火をつけ、アクション・フィギュアやトレーディング・カードなんぞを大量にコレクションさせた罪は大きい(おいおい)。 |
![]() 1997. US 1Sheet. 27X40inch. Double-sided. Rolled. |
■ビバ!地獄絵図! 出版当時「軍国主義小説」のレッテルを貼られセンセーショナルな扱いを受けた原作を、お得意の「クレイジーな未来観」でもって徹底的にカリカチュアライズし、もう笑うしかない「脳ミソ空っぽ」なナショナリズムに置き換えて映像化したヴァーホーヴェン。能書きなどはどうでもよい。見る者を圧倒するのは怒涛のSFXである。『ジュラシック・パーク』で画期的なCG恐竜を動かして見せたフィル・ティペットが『ジュラ・パー2』を蹴ってまで参加。地を這い空を翔る巨大バグ軍団に命を吹き込んでくれたおかげで、かつて見たことのない戦闘シーンが誕生した。地表を覆う何万というバグの群れは殺しても殺しても減らず、最前列では前述のような地獄絵図が繰り広げられる。あまりにもリアルな大量死のヴィジョン。ヴァーホーヴェンとティペットが見せたかったのはまさにこれだ。「パワード・スーツ」など着せるわけがない。そして戦いの場は地表だけではない。バグの惑星上空に待機する巨大戦艦の艦隊を地上の大型バグが放つプラズマ砲が直撃。真っ二つに寸断されミルフィーユのような断面をメラメラ燃やしながら、宇宙空間に乗組員たちを吐き出して轟沈する戦艦。そして猛スピードで飛ぶ脱出艇のキャノピーにぶち当たる宇宙空間に漂う死体。ヴァーホーヴェン作品で描かれるヴァイオレンスには「過剰な残虐性」に加え、常に「マヌケさ」が漂っている。 |